資源を共有する

以前、同業者の男性と名刺交換をした時「ライバルですね!」と
言われたことがあります。

私が「とんでもない。仲間ですよ。」と答えたところ、相手の方はキョトンとしていました。

たしかに同業者を競合と考える方もいますが、
私は同業者を仲間と捉え、協力したほうが
自分のためにも業界のためにもお客様のためにもなると考えます。

勝ち負けを気にすると「あいつには負けたくない。」
「うちの技術のほうが優れている」と意識が競争相手に向いてしまいます。
結果、一番大切なお客さんを無視した的外れのサービスや商品を提供してしまいかねません。

それよりも仲間と協力して業界を盛り上げるための施策を考えたほうが
良いアイディアが生まれ、顧客満足度が上がります。

 

私が携わったフランチャイズチェーンでは
加盟店同士が積極的に情報交換するナレッジマネジメントに力を入れていました。
全加盟店の事例を収集し、スピーディに成功ノウハウを構築するためです。

実際に全加盟店から集まった成功事例や失敗事例を共有することで、
チェーン全体の業績は上がり、1年で約300店舗、10年で約1600店舗の店舗展開に成功しています。

実は、このような加盟店同士が情報交換できる体制のフランチャイズチェーンは多くはありません。
ほとんどのフランチャイズチェーンではやる気を喚起させようと加盟店同士を競争させるからです。

しかし、加盟店同士が敵対意識を持つと、成功ノウハウを隠したり、
一人で悩んだりして、チェーン内に格差が生まれます。

たとえ経営者は違っても、ひとつの看板を掲げている以上、
一店舗でも悪い噂がたてば他店への悪影響は免れません。
結果、チェーン全体の業績が下がってしまいます。

 

同業者と戦って、自分も相手も傷つき、パワーを消耗し、
気が付いたらお客さんも離れてしまう
という悲しい結末を迎えないために、
同業者とは競合するよりも協力したほうが得策です。

 

たしかに同じ商品を扱っていれば、顧客の取り合いになるかもしれません。

しかし、全く同じお店というのは存在しません。
店舗ごとに得意不得意が必ずあるはずです。

たとえば、シニア世代の対応が得意な人や、
若者向け、流行りもの商品が豊富なお店、
出張が早い、修理ができるなど、自分の弱みと仲間の強み、
自分の強みと仲間の弱みを合わせることで様々な顧客のニーズに応えることができるはずです。

 

私も「同業者とは競争しない。同業者とは協力する」
という体制でコンサルティングをおこなっています。

具体的には全国の専門家45名を集め、
「経営者のためのお悩み相談センター」を運営しています。

私は集客や営業が得意分野ですが、
経営者のお悩みはそれだけではありません。

資金繰りのこと、税金のこと、社会保険のこと、
商標のことなどなど、多岐に渡ります。
そこで、専門外については仲間の専門家に対応してもらうという仕組みです。

こうして、仲間と得意な分野を合わせることで、
経営者のどんな相談にも対応できる体制をとっているのです。

 

青森の日立の販売代理店では、小さな町の電気屋さんが集まり、
合同展示会を開催しているそうです。

大きな会場を借りて、チラシを一緒に配布し、
一カ所にお客さんを収集することで少ない経費で、より多くの顧客を収集しています。

 

同業者と協力して何ができるかを考えることで、
自分たちだけではできなかったことが可能になります。
出来ることが増えれば、顧客の満足度は上がり、売上アップにもつながるのです。

 


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