新規客獲得のためにどんなに高額な広告費をかけてチラシを撒いても
お客さんからすればただの紙切れ一枚に過ぎません。
同じ経費をかけるなら、既存客に対象を絞り、
フォローを手厚くしたほうが、顧客満足度は上がり、再来店や紹介につながります。
売上が低迷しているA社から‘営業マンの業績が悪いので育成をして欲しい’と
ご相談を頂いた時のことです。
状況を確認すると、たしかに新規契約も減っているのですが、
それ以上に気になったのは解約率の高さでした。
お客様の多くが契約更新時に解約していたのです。
調べてみると、既存客のフォローを疎かにしていたことが要因だとわかりました。
営業マンは新規契約を取るまでは一生懸命なのですが、
いざ契約が成約すると手の平を返したようにお客様のところへ訪問する回数が減っていたのです。
いわゆる「釣った魚に餌を与えない」状態でした。
これではお客様から「契約する前まではあんなに熱心だったのに、
契約したら急にそっけなくなったね。」と、契約更新時に解約されても仕方ありません。
解約が増えた分、営業マンはさらなる新規客獲得の必要性に迫られていました。
そして、新規契約を取らなければと必死になればなるほど、
精神的にも体力的にもボロボロになり、
余計に新規客獲得できないという悪循環に陥っていたのです。
営業部長に話を聞くと
「既存客が大切なのはわかりますが、今はきれいごとを言っている場合じゃないんです!
売上を上げるには新規客を増やさないと!」と、
新規客獲得が最優先という考え方でした。
おそらく「新規契約件数の目標」がプレッシャーだったのだと思います。
しかし、いくら新規客を獲得しても既存客が流出してしまっては、売上は上がりません。
これではお風呂に栓をせずにお湯を入れ続けているようなものです。
湯船にお湯を貯めるためには、まず湯船に栓をしなければなりません。
鶏が先か卵が先かの話になってしまいますが、
売上を上げようと思ったらまずは既存客の流出を止めることが優先なのです。